ティーカップ

"あるところに、ふるさとでくらせなくなった男の子がいました。

生きていけるところを、あらたにさがさなくてはなりません。

男の子のカバンのなかには、1さつの本と、1本のビンと、

1まいのもうふが、はいっていました。

それに男の子はティーカップもひとつ、もっていました。

ティーカップのなかには、

男の子がよくあそんだ場所の土がはいっていました。"(本文より)

 

そうして男の子はひとりでボートで大海原へと漕ぎ出します。

海はいろんな表情をみせます。

そして男の子はふとしたきっかけで、何もかもがかわることを悟ります。

やがて陸が見えてきて…。

 

ティーカップ レベッカ・ヤング/文 マット・オットリー/絵 さくまゆみこ/訳

化学同人 2023

TEA CUP  Text copyright by  Rebecca Young  Illustration by Matt Ottley 2015

 

化学同人から出ている絵本はどうしてこうも美しいのでしょう。

少年が漕ぎ出した海の絵に引き込まれます。

そして物語はとても深いです。

文章では深くは語られていないけれど、ティーカップに土を入れていくというのが、いろんな意味を持たせているように思います。

中学生以上の子どもに読んで欲しいなと思いました。(もちろん大人も)