リンドグレーンやベスコフなど、スウェーデンのクリスマスの絵本を読んでいると、時々「トムテ」が登場します。
トムテって赤い帽子をかぶった小人さんなんですけれど、では、どんな存在なんだろう?と思ってググってみました。
Wikipediaによると、トムテは妖精なんですね。
時代によってトムテは農家の守護神だったり、悪魔と同一視されていたり、ユールトムテ(スウェーデン版サンタクロース)になったりと、色々その立ち位置が変わってきたようです。
で、今、図書館から借りているのは下記の2冊ですが、このトムテは農家の守護神的な役割をもっているようです。
「トムテ」ヴィクトール=リードベリ/作 ハラルド=ウィーベリ/絵 やまうち きよこ/訳 偕成社 1979
TOMTEN Poem by VIKOR RYDBERG ; Pictures by HARALD WIBERG 1960
「みまわりこびと」アストリッド・リンドグレーン/文 キティ・クローザー/絵 ふしみ みさを/訳 講談社 2014
Tomten är Vaken Text: Astrid Lindgren, 1960, Illustrations : Kitty Crowther, 2012
偕成社版「トムテ」のあとがきによると、絵本の「トムテ」にはリードベリの詩を用いたものと、それをもとにしたリンドグレーンが書き改めた文によるもの等があると書いてありました。
というわけで、上の「トムテ」は詩人リードベリが1882年に発表したものにウィーベリが絵をつけて絵本にしたもの、下の「みまわりこびと」はリンドグレーンが書き改めて文にしたものということのようです。
トムテはみんなが寝静まったしんしんと冷える真冬の夜に農場を見回ります。
牛小屋から馬小屋、食料倉庫、羊小屋、鶏小屋などをみてまわります。
トムテはもうずっと長い間そうして過ごしてきたのです。
偕成社版は読んでいて、文章がやや哲学的な感じがします。
そしてなんだか凍てつく夜のしんしんとした寒さを肌で感じるような、
そんな静けさがあります。
リンドグレーンのほうはトムテの物語として読めるので、
なんとなくほんわかとした印象になっています。
同じ題材の絵本ですが、まったく違う印象を受けるので、
読みくらべてみるのも面白いと思います。