ルリユールおじさん

久しぶりに本棚から出してきました。

いせひでこさんの「ルリユールおじさん」です。

過去のえほんmemoを見ると、買った当時の感想が出てきました。

久しぶりに絵本を買いました。
いせひでこさんの新作です。

ページをめくると、
パリの香りがします。

「RELIEUR(ルリユール)」というのは、
製本職人さんのこと。
フランスでは、こうした手仕事で製本される職人さんが
いらっしゃるのですね。

いったんバラバラになった本を
新たに再生して行く過程を見ていると、
本に対する愛情をとても感じます。

そして、こんなふうに人との出会いが
その人の人生につながって行く…
その大切さも感じるのでした。(2006年10月18日 えほんmemoより)

そして、久しぶりに読んだ時、

その当時見過ごしていたひとつのことが気になりました。

表紙の上に「RELIEUR ET ROBINIER」とフランス語の題があったんです。

あ、いままで、このフランス語に注意を払ってなかったわと、気がつきました。

で、Google翻訳でみると、ROBINIERは黒いイナゴとなって「???」となりました。

そこで、もう少しちゃんと(^-^;)調べてみると、ROBINIERはニセアカシア(針槐)のことだとわかりました。

(ニセアカシア、日本では一般的にはアカシアの木と知られています。ユーミンの大連慕情に出てくるアカシアもニセアカシアのことです。ほんとのアカシアは実は別の木なのですが、ここではそのことについてはおいておきます。この本の中では、アカシアとなっているので、ここではアカシアで書いていきます)

つまりこの本にはフランス語で「ルリユール(製本者)とアカシア」という副題がついていたのでした。

そういえば、この表紙も大きなアカシアの木のもとを少女が走っていってました。

この大きなアカシアの木の樹齢は400年以上といわれ、それはルリユールとの歴史とも重なります。そして女の子が持ってきた小さなアカシアの木、次の世代へと受け継がれていく象徴のように感じました。

ところで、そのアカシアの木ですが、パリで最古の木と言われているそうです。

natgeo.nikkeibp.co.jp

ルリユールおじさん いせひでこ/作 講談社 2006

 

Wikipediaによると、ルリユール職人が生まれたのはルイ14世のおかげのようです。

17世紀末に、活版印刷の発明によって出版・印刷・製本の境界が曖昧になった状況を背景に、フランス国王のルイ14世が下した「出版・印刷・製本業者は互いの職分を越えてはならぬ」という勅令により、製本の権利を失った出版・印刷業者により仮綴じ本を作られるようになった。この仮綴じ本や希少本の購入者が装丁や製本を依頼するのがルリユール職人である

この絵本が出た2006年当時でも製本の60工程すべてを手作りでできる製本職人はひとけたになったと巻末にいせひでこさんが書いておられますが、今はさらに減っているのかもしれません。

ここ20年で本業界はとても変わった気がします。

私も紙の本は場所を取るから、電子書籍で買うことも多いです。

(でも電子書籍って、ぱらぱらっともとに戻れないので不便と思うこともあります、^-^;)

そして、絵本や図鑑類は電子書籍ではなく、

やっぱり紙の本であってほしいです。

 

(おまけ)↓通称アカシア、ほんとはニセアカシア(針槐)の木の記事

kazenokomichi.hatenablog.jp