秋が、深まってきた。
時折、取り出してくる「秋色」の絵本たち。
この記事は昔作った「風のなかー絵本の小径ー」というタイトルのHPに載せていたものです。生協のインターネット事業からの撤退に伴い、こちらに記事を移すことにいたしました。まだムスメが幼稚園生だった頃、その当時に読んだ絵本の記録です。絵本はずっと残っていくと思っているので、少し修正と加筆を加えながら、記事を順次移していく予定です。
(20年以上も前に書いた記事なので中には絶版になっているものもありますが、気になった本がありましたら、図書館にて探してみてくださいね。)
また、順次新しい絵本も追加していく予定です。
■きんいろのときーゆたかな秋のものがたりー
アルビン・トレッセルト・作 ロジャー・デュボアザン・絵 えくにかおり・訳 ほるぷ出版 1999
きりぎりすがなきはじめると、「霜がおりるまで あと6週間」といわれます。少しずつ昼間は短くなり、黄金色の小麦は頭を垂れ、収穫の時がやってきました。そして森の収穫がはじまり、果樹園ではたわわに実をつけた木にはしごがたけかけられます・・・。
まるで詩を読むようなリズムで、文章で綴られています。その流れるような文章を読むだけで、ゆたかな秋の物語が情景豊かに私達にひろがってくれる・・・そんな1冊です。見返しの絵も、とても好き♪(2001/11/3)
■きんいろあらし
カズコ・G・ストーン・作 福音館書店 1998
やなぎむらシリーズの秋の本です。おおきなおおきなやなぎの木が、きいろくいろづいたある日、あかとんぼのアカネさんがやってきて、「たいへんよ。きんいろあらしがやってくる。」とやなぎむらのみんなに知らせてくれました。さあ、みんなはとばされないようにと、大急ぎで準備をしました。さて、嵐が過ぎ去った後、気が付くとひとり足りません!やなぎむらは大騒ぎです!・・・
丁寧な色鉛筆画が、相変わらず素敵です。今回は、全体が黄色の秋色にトーンが統一されています。娘はやまぶどうにひっかかっているトビハネさんのぼうし、ちゃあんとみつけて、私に教えてくれました。ちっこくても、子どもは絵のすみずみまで見ているんですねー。やなぎむらの冬のお話「ふわふわふとん」も、う傑作集の仲間入りになりました♪(2001/11/3)
■ヒッコリーのきのみ
香山美子・作 柿本幸造・絵 ひさかたチャイルド 1985
大きなかごをもって、りすの子、バビーがもりへでかけました。ヒッコリーのきのみを拾いに行くのです。森にはヒッコリーのきのみがいっぱい。バビーは大きな実ばかり拾ったのですが、中にはかるい実もあります。みると、おしりに小さな穴があいていて・・・。ふふっ、中になにかいますよ♪
つめたい風がふいてきたので、バビーとお母さんは冬支度にかかります。おかあさんは、バビーに歯でかんだ木のみを穴の中にうめておくことを教えます。そして冬の間、そのうめた木のみを食べるのです。やがて、春が来て・・・。
森の中のヒッコリーの木と、りすのお約束。この本は、自然界の成り立ちをさりげなく教えてくれます。柿本幸造さんのあったかく優しい絵、娘は大好きなのでした。(2001/10/25)
2023年10月現在、品切れもしくは絶版です。
図書館でお探しください。
■くんちゃんはおおいそがし
ドロシー・マリノ・作 まさきるりこ・訳 ペンギン社 1983
こぐまの「くんちゃん」シリーズの1冊です。ある日、「くんちゃん」はベッドから起きて「なにしよう」って思うんですが、「なんにもすることないや」って思い、いろいろとお母さんやお父さんにたずねます。ところが、お母さん達はいそがしいので、くんちゃんに「外でなにかすることを見つけなさい」と言い渡します。さて、くんちゃん、最初のうちはひまをもてあましていましたが、そのうち、くんちゃんはおおいそがしになるんです!ふふっ。この本に描かれているくんちゃん、ちょうど幼稚園にあがる前の娘のやっていることそのものだ~なんて感心したものです。こどもって、こうしてみずから遊びを発見して、いつしか夢中になっちゃうものなんですよね・・・。子どもがそうして遊ぶためには、「退屈」させなくっちゃいけないらしい。(巻末でまさきるりこさんは3時間!とおっしゃっています。)そうだよね・・・テレビをつけなくても、自ら夢中で遊んでいる時の方が、よっぽど楽しそうだもの!!・・・それにしても、落ち葉いっぱいの小山・・・なんて気持ちよさそうなこと♪
ふゆごもりに入る前のおはなし、「くんちゃんのだいりょこう」(岩波書店)も、今の季節にぴったりな絵本です。(2001/10/22)
■14ひきのやまいも
いわむらかずお・作 童心社 1984
14ひきたちの住んでいるところも、すっかりと秋色に染まっています。今日は、みんなで「やまいもほり」に出かけるところです。・・・あれれ?表紙カバーの絵、だれか一人足りないぞ・・・カバーをはずしてみると・・・いました、いました。ろっくんたら、あわててずぼんをはいていますね!うふふっ。
さて、やまいもほりがはじまりました。おっと、なにか幼虫がいるのを、絵を見ていた娘が発見しました。そうそう、この間、幼稚園からさつまいも掘りに行ったときにも、「こがねむしの幼虫」が出てきたって、報告してたものね!・・・やっぱり、やまいもを掘っても、幼虫さんって、出てくるんだねー。
14ひきのかぞくたち、今夜は「やまいも」三昧の御料理です。これを見ていると、やまいもがたべたくなっちゃいます。麦ご飯に「とろろ」をかけて・・・う~ん、美味しそう♪(2001/11/4)
■どんぐりかいぎ
こうやすすむ・文 片山 健・絵 福音館書店(かがくのとも傑作集) 1995
北の国のどんぐりの森のなかでは、どんぐりがたくさんなるとしと、すこししかならないとしが1ねんおきにあります。たくさんなるとしを「なりどし」、すこししかならないとしを「ふなりどし」と言います。どうして、「なりどし」と「ふなりどし」があるのでしょうか・・・。
去年、この本を手にとって、はじめてどんぐりの木というのは、「なりどし」と「ふなりどし」があるということを知って、びっくりしました。このお話は、その理由をこうやすすむさんが考えたわけを書いてあるのですが、自然の営みって上手く出来ていて、本当に会議をしたみたいに思えるから不思議ですね!
自然の植物と動物たちのかかわり合い、自然の営みを、すんなりとわかりやすく教えてくれる、そんな1冊です。(2001/11/4)
■まっかなせーたー
いわむらかずお・作 至光社 1984
こりすの「ぱろ ぽろ ぴこ」シリーズの1冊です。もうすぐ冬、お母さんはせっせと編み物をしています。こりすたちに、おそろいの赤いセーターを編んでいたのでした。出来上がった、その真っ赤なセーターを着て、3匹は、嬉しそうに森へと出かけます。森には、セーターと同じ赤い色をしたものがいっぱいです。さて、3匹はどんな「赤い」ものを見つけたのでしょうね♪
深まる秋の森を「赤色」で表現した、とても素敵な1冊です。このシリーズには、冬のお話、早春のお話、夏のお話と、四季を通じて森の自然が楽しめますので、ぜひ他のお話も読んでみてくださいね。 (2001/11/4)
(14匹シリーズより実はこのこりすシリーズの方が好きだったりする、^-^;)
■きつねのとうさん ごちそう とった
ピーター・スピア・絵 松川 真弓・訳 評論社 1986
北米ニューイングランド地方の民謡に、スピアが絵をつけた絵本です。ある秋の夜、月明かりをたよりに「きつねのとうさん」は、ごちそうを探しに、村へと出かけました。この時に渡る「橋」、これがまるで「マディソン郡の橋」のような屋根のある雰囲気たっぷりな橋なんですよ!そして、月明かりで照らされた、ほんのりと明るい村の風景には思わずうっとりとするぐらい素敵です。その絵からは、秋深い夜の冷たい空気の様子まで、伝わってくるようです。最後に、この民謡の楽譜がついています。娘はキーボードを出してきて、自分流に歌っているのが、かわいくて笑えるんですけれどね♪(2001/10/22)
2023年10月現在、品切れまたは絶版です。
図書館でお探しください。
■コーギビルの村まつり
ターシャ・テューダー・作 飯野雅子・訳 メディアファクトリー 1999
ニューハンプシャーの西、バーモンドの東に、コーギビルという村があります。そこには、コーギ犬と猫とウサギとボガードが住んでいました。この村に、コーギ犬のブラウン一家が住んでいました。夫妻と、ケイレブ、コーラ、ケイテイの3人の子どもです。ブラウンさんの牧場では、レース用のやぎを育てていました。ヤギのグランドレースは、村まつりの最大のイベントなんです。さて、そのレースではトムキャット家との対決が予想されていました。
9月に入ると、村じゅうがおまつりの準備で、にわかに活気づいてきましたよ!・・・さあ、いよいよ、お祭りがはじまりました!・・・
コーギビルの村まつりの様子を、楽しく、そしてエキサイティングに描いた絵本です。コーギ犬やうさぎたちなどが、愛らしく、そして生き生きと描かれているのが印象的です。特に、コーギ犬のかわいいことといったら、思わずペットに1匹飼いたくなってしまうほどです。
秋祭りというものを、とても大切な行事として、ターシャがとらえていることも、この1冊から伺うことが出来ます。娘には文章はまだ長すぎるようですが、このコーギビルの様子を、絵から楽しそうにながめています。私も、いろんなお店が出ている様子をながめるだけで、なんだかワクワクしちゃうんですよ♪・・・やっぱり、お祭りってどこの国でも、楽しいものですよね!(2001/11/4)
↑現在は河出書房新社からでています。(2023.10)
■どんぐりぼうやのぼうけん
エルサ・ベスコフ・作 石井登志子・訳 童話館出版 1997
どんぐりぼうやのオッケとピレリルは、おとうさん、おかあさんと、高いかしわの木のてっぺんで暮しています。ある秋の日、かしわの葉っぱで、ひこうきごっこをしていた二人は、空高く舞い上がり、あっと言う間に、森のそとへと飛ばされてしまいました。ふたりは、ひげの山のもみの木の上の小人のおばあさんたちがせんたくやさんをしているところへ、落ちてしまいます。・・・二人は、せんたくものを汚したばつとして、おばあさんたちにおつかいをいいわたされますが・・・。
北欧の秋の様子が伝わってくる絵本です。ベスコフの描く、子どもたちは相変わらず、とても愛らしいです。どんぐりぼうやたちも、はしばみの子どもたちも、マロニエの子どもたちも、みぃーんな可愛い!
葉っぱのいかだや、マロニエの実でできたのりものも、いかにも子どもが喜びそうな乗り物で、なんだかとっても楽しそうです。それからね、どんぐりのおかあさんが使っているティーポット!これがたまらなくかわいいんですよ♪(エプロンもかしわの葉っぱでおしゃれなんです。あ、はしばみ夫人のショールも素敵なんです。)本当に森の中に、どんぐりぼうやや小人たち、そしてトロルがいるような気がしてくる・・・そんな、素敵な秋の本です。(2001/11/4)
■たのしいふゆごもり
片山 令子・作 片山 健・絵 福音館書店 1991
森に大きな木がいっぽんあって、そのねもとにこぐまとお母さんが住んでいました。秋のある日、急に寒くなってきたので、お母さんとこぐまは「ふゆごもり」の準備をするために、森へでかけました。お母さんがこぐまに言います。「ほら、もうふゆのにおいがしてきた」・・・おかあさんのはく息も白く見えます。 ふたりは、まず、きのみを拾い、それからはちみつをとり、それから川へ行って、さかなとりをしました。そして、わたつみにでかけ、きのこをとりながら、うちへかえりました。ごはんがすむと、おかあさんはまくらを作りました。そして、もうひとつ…ふゆごもりのよういのいちばんさいごになにかを作ります。さて、おかあさんは何をつくったのでしょうね?
ふふっ、やがて、雪がふりはじめました。
深まった秋の森の様子がとても素敵な本です。こんなふうに「ふゆごもり」の準備をするのって、とても楽しいだろうなぁ・・・って、思います。読み終えると暖かく居心地の良いお部屋で、一緒にふゆごもりをしたくなっちゃいます♪
娘が赤ちゃんのころ、私の実家で綿を育てたことがあります。(新聞で「種を差し上げます」というのがあったらしいんです。)そうして出来上がった「綿花」。今でも、クリスマスになると、ツリーの雪の飾りに使っています。この本の、わたつみのページをみるたびに、また「綿」栽培をしてみたいなぁ・・・って思うのでした。(2001/11/4)
■りすのはなし
ブライアン・ワイルドスミス・作 はぎようこ・訳 らくだ出版 1976
りすのしっぽはふさふさ。ぴんとはった耳もふさふさ。・・・りすはげんきないたずらっこ。・・・なつになると、リスの毛はうすくなります。そして、ふゆになると、たくさんになります。・・・
もりのなかをそっとのぞいてごらん。いるいる、パラシュートりすさん、わんぱくりすさん、それからくいしんぼうりすさん♪・・・
題名の通り、「りすのはなし」を描いた絵本です。りすのしっぽって、ふさふさしていてりっぱでしょう?!
あのしっぽって、実はいろんな役割をはたしているんですね!
特にリスが泳ぐなんて、びっくりしました。
色の魔術師と言われるワイルドスミスの、まるで芸術作品を見ているような、美しい1冊です。特に雪の結晶の中にいる、りすちゃんが、私の一番のお気に入り♪(2001/11/4)
現在は品切れもしくは絶版です。
図書館にてお探しください。
(ワイルドスミスの絵が素晴らしいので復刊されたらいいなぁ。)
(2023.11.2 追記)旧「木陰の本棚」の書庫の記録から
■あかいはっぱきいろいはっぱ
ロイス・エライト・作 阿部日奈子・訳 福音館書店 2002
書の表紙をAmazonで見て以来、ずっと気になっていたこの本の日本語版が出てようやく出会うことが出来ました。
表紙の美しさに思洋わずうっとり。そして、ちょっとだけ仕掛けがある見返しが美しいです。その美しさにうっとりしながら中を開いていくと、まったく雰囲気が変わって、紙と織物を使ったコラージュ、大きな文字で文章がかかれているのでした。
訳者の阿部日奈子さんは詩集も出されている方らしく、リズムのあるやわらかな日本語で訳されていています。
でも、この本はそれだけでは終わらないんです。そう!この本は実は「かがくのほん」なんです。「かえで」に関して、詳しく巻末に載っています。娘と、ゆっくり、じっくり味わいたい1冊です。(2002年11月21日の「旧木陰の本棚」書庫より)
娘が小学生の頃、図書ボランティアで秋になると、この本を読んでいました。
カナダの国旗と紅葉の写真、
それからプラタナスやイロハモミジの葉っぱを見せながら読みました。
それにもちろん、メイプルシロップも♪
(2003年11月「学校で読んだ本の記録ノート」より1年生に読んだ本)
残念ながら、絶版のようです。図書館でお探しください。(2023年11月)
(追記その2)「学校で読んだ記録ノート」から
■カボチャありがとう
木葉井悦子・作 架空社 1994
この本はカボチャがいろんな生き物たちに「カボチャがたべたーい」と言われて「たべていいよ」という問答を繰り返す絵本です。そしてみんながカボチャを味わったあとは…。食べ物をいただくことの意味をこの本は伝えてくれます。
読む前に「おてらの和尚さんがかぼちゃのたねをまきました…♪」をみんなで唄いました。
読み終わった後は、冬至のお話を少し。
風邪をひかないように、カボチャを食べなくちゃね♪
(2003年11月「学校で読んだ記録ノート」より1年生に読んだ本)
残念ながら絶版のようです。図書館で探してみてください。…とはいえ、図書館にもあまりない、レアな本だったりします。(2023年11月)