表紙がとても印象的な絵本です。
あおのじかんにたたずむあおい鷺。
おひさまが しずみ
よるが やってくるまでの ひととき
あたりは あおい いろにそまる
ーそれが あおの じかん
そう、あおのじかんとはお日様が沈んで、夜になるまでの あの時間のこと。
最初はまだ明るい青の色。
ホッキョクギツネのページの美しいこと!
そして次のページのコバルトヤドクガエルの毒々しいこと!
最初は小鳥が鳴き、イワシがバシャバシャとはねまわり、フサホロホロチョウがキュルルル キュルルルとなきわめいているのだけれど…
あおい ベールに つつまれて
あたりは しんと しずまりかえる
そしてページが進むごとにだんだん青の色は濃くなっていき、やがてあおのじかんはおしまいになります。
ちょっと息をひそめて、夕暮れから夜へとうつる時間を見つめる…そんな絵本です。
この絵本に出てくる生き物たちは日本では馴染みのないものが多いので、それを知るのもまたおもしろいところかもしれません。表紙のスミレサギ(注1)も他の鳥たちも、ふだん日本では見られないコたちです。
ところで、この絵本に出てくるコバルトヤドクガエルって、いかにも毒をもっていそうな毒々しい青色なのです。世界で一番美しいカエルって話ですが、今、調べたら、1匹で大人10人も殺せるくらいの毒を持っているらしいです、ひゃー!
見返しには「いろいろなあお」が載せてあります。
わかりやすいものもあれば、抽象的なものや謎なものもあります。
「はればれとしたこころのいろ」とか「ゆめのいろ」とか。
「そらとぶえんばんのいろ」とか「まほうのいしのいろ」とか。
そして、裏の見返しにはせかいの青い生き物たちの分布図がのっています。
(ふだんは太平洋が地図の真ん中なのに見慣れているので)この地図、一瞬日本がどこにあるのか、探しました。ま、日本は極東だしね。^-^;
日本のところにはトンボのマークと野鳥のマーク。
トンボはイトトンボっぽい形、鳥は何の鳥でしょうか?
日本で青っぽい鳥といえば、ルリビタキ、オオルリ、カワセミなどが思い浮かびます。
(注1)正しくはヒメアカクロサギと言うらしいです。でもスミレサギっていううほうがこのサギに似合う気はします。だからあえて訳者の方もスミレサギという表記にしたのではないかと推測。^-^
あおのじかん イザベル・シムレール/作 石津ちひろ/訳 岩波書店 2016
(おまけ)
日本のあおのじかん
あおのじかんの桜って、美しいです。
群青色の空と桜。
これ以上時間がすすむと、夜桜になってしまいます。
さて、今宵のあおのじかんはどんな景色になるでしょうね? ^-^