ビアトリクス・ポターの「ピーターラビットの絵本」シリーズの1冊です。
表紙カバーのそでに、このお話はポターが一番気に入っていたお話で、
実話に基づいて書かれたものだという説明があります。
そこで思い出したのが、
娘が高校生の時にイギリス研修で買ってきてくれたお土産の、
110周年記念限定本(シリアル番号入り)でした。
The TAILOR of GLOUCESTER by BEATRIX POTTER FREDERICK WARNE 2013
表紙は布張り。中の文章は筆記体です。
この本にはこの物語が出来たエピソードを書いたIntoroductionが冒頭にあります。
お土産をもらった当初はスルーしていたのですが、
この記事を書くにあたって、はじめてちゃんとIntoroductionを読んでみました。
(幸い、今は便利な翻訳アプリもあるし、^-^;)
そのIntoroductionによると、
「グロースターの仕たて屋」はポターの作品の中で事実に基づいた唯一の物語だということ。
グロースターの仕立て屋のJohn Prichard という方が、市長のためにチョッキを作らねばならなかったこと。
それは市長の結婚式のためではなく、civic function(市民行事)のためのものだったこと。
グロースターでは毎年、Root, Fruit and Grain Society Show(収穫祭のようなもの?)が開催され、市長とCity Corporation(市役所の職員のことかな?)がギルドホールから行列を作って歩いたこと。
それは新しい市長の最初の義務だったので、最善をつくしたこと。
仕立て屋のPrichard氏には二人のアシスタントいて、彼らが土曜日の午後に秘密裏に店に戻り、ボタンホールひとつをのぞいて、こっそりチョッキを仕上げ、"no more twist"(あな糸が足りぬ)というメモをピンでとめておいたこと。
月曜日に氏がお店に行くと、チョッキがボタンホールひとつをのぞいて出来上がっていたので、とてもびっくりしたこと。
でもアシスタントたちは秘密にしていたので、彼らは事情を説明できなかったこと。
なので、氏はチョッキを窓のそばにおき、"Come to Prichard's where the waistcoats are made at night by the fairies"と書いたのだとか。
(二人の弟子は妖精になってしまった、笑)
ポターはこのエピソードが大変気に入っていて、妖精をねずみに、夏に描いたスケッチを冬の風景に変えて、クリスマスの物語にしたのだということです。
グロースターの仕たて屋 ビアトリクス・ポター/作・絵 いしいももこ/訳 福音館書店 1974
ポターは自分の作品の中でこれが一番気に入っていたと冒頭にも書きましたが、
実は私もこの話がいちばんのお気に入りです。^-^
十二月、クリスマスが近づいたら手に取る1冊です。
↑今はピンク色の表紙になってます。
(おまけ)
このアニメーションが好きで、VHSしか持ってなかったのだけど、
結局、DVDをポチってしまいました。^-^;
(いま、我が家はもはやVHSが見られない環境なのです)
アニメーションがはじまる前に実写で湖水地方の風景の中、
ビアトリクス・ポター演じる女優さんが物語へと誘ってくれます。
ピーターと名付けられた本物のうさぎが実にいい仕事してて驚きます。
(とてもかしこいうさぎなんです、^-^)
もちろんほんものの猫のシンプキンも出てきます。
(ついでに?ほんもののアヒルのジマイマもいます、笑)
これ、なんとかリマスター版作ってくれないかしらんね?
(妙にリアルな某ピーターの映画よりこちらの方が私は好み)
( 2023.12.16追記)
最近になって知ったのですが、2022年に早川書房がピーターラビットの公式出版社になったのですね。訳も川上末映子さんの新訳だそうです。
ちょっと読み比べしてみたいですね…。
↓詳細はこちら
グロスターの仕たて屋 ビアトリクス・ポター/作・絵 川上末映子/訳 早川書房